
行政のクラウド化を支える、KTSの挑戦 ― ガバメントクラウド開発プロジェクト ―

ガバメントクラウドとは?
「ガバメントクラウド」は、デジタル庁が推進する、政府や自治体が共通で使うクラウド基盤です。これまで各機関が個別に管理していた情報システムを共通のクラウド環境上に移行することで、行政サービスの効率化や災害対応、セキュリティの強化を目的とした国家的なプロジェクトです。
たとえば、マイナンバーや各種行政手続きといった私たちの暮らしに関わるサービスを、より早く安全に、便利に届けることを目指しています。
この動きはIT業界にとっても大きな転換点で、国や自治体と連携しながら新しい社会インフラを支える技術開発が求められています。
プロジェクト紹介
KTSが担当したのは、中央官庁(以下、A省)専用に提供していた既存システムを、ガバメントクラウド上に再構築するプロジェクトです。2020年入社のプロジェクトマネージャーT.Iさんと、2019年入社のインフラエンジニアY.Oさんを中心に、約2年かけて取り組みました。
プロジェクトでは、デジタル庁やA省、クラウドサービスプロバイダー(CSP)、ITコンサルタントなど多くの関係者と連携しながら、A省の業務システムをガバメントクラウド対応に刷新しました。
最大の課題は、非常に厳しいセキュリティ要件と複雑なネットワーク設計です。A省独自の運用ルールにも対応する必要があり、高度な設計と構築のスキルが求められました。
さらに、開発にはAWSの最上位資格取得が必須で、2人は短期間で資格を取得。資格取得後も知識を現場で活かす工夫を重ねています。
課題は手作業に頼らず、自動化やアラート機能などの最新技術を取り入れることで効率化。高い難易度の要件にも地道かつ誠実に向き合い、突破しました。
また、国のプロジェクトでありながらKTSから構成や設定の提案も多く行い、自社の技術力で社会インフラに主体的に関わる貴重な経験となりました。
KTSならではの開発環境―少数精鋭で大規模プロジェクトを動かす
KTSの強みは、少数精鋭のチームで大規模プロジェクトをスピーディーかつ丁寧に進められること。決裁や方針決定までの距離が近く、大きな方針転換が必要な時でも1~2日で柔軟に対応できます。
一般的に開発スケジュールは遅れがちですが、KTSはトップの迅速な意思決定と現場の実行力が噛み合い、スピード感を保ちながらも確実に前に進めています。この柔軟で力強い推進力は、大手SIerでは得難いKTSの大きな特徴です。
技術面では、まだ業界全体に広まりきっていない「Infrastructure as Code(IaC)」を積極的に導入。システム構成の見える化や運用の効率化を実現し、開発のスピードと品質を両立させています。
また、KTSには「良いものをつくること」に強いこだわりを持つエンジニアが多く、検索性の向上や運用コスト削減など、細部にまで気を配る姿勢がチーム全体の品質を高めています。
一方で社内はフラットで柔らかい雰囲気。日々の雑談から生まれるアイデアも多く、メンバー同士が自然に支え合い、挑戦を後押しする環境です。
メンバーコメント
T.Iさん|プロジェクトマネージャー
2020年入社、開発部所属。基幹システム開発が主な業務で、今回のプロジェクトリーダーを務める。
「インフラの知識がほとんどない状態でプロジェクトが始まったため、Oさんの技術支援には本当に助けられました。基本の『いろは』からすべて教わったと言っても過言ではありません。省庁とのやりとりや要件調整など初めての経験で戸惑うことも多かったですが、社内メンバーに支えられ、国のプロジェクトという大きな責任の中で自分の役割を果たせたことが大きな自信につながりました。」
Y.O.さん|クラウド・インフラ技術担当
2019年入社、開発部所属。情報共有システムのインフラを主に担当し、インフラ分野に精通。技術サポートとしてプロジェクトに参加。
「T.Iさんのマネジメント力には本当に助けられました。多くの関係者との調整は自分には真似できません。そのおかげで技術に集中できました。AWS資格の取得や難しい課題にも直面しましたが、『AWSサミット』などで学びを深め、『IaC』を取り入れるなど、新しい技術にたくさん触れられたことがとても楽しかったです。」
社会の中枢を支える技術に挑もう
このプロジェクトはKTSにとっても初めてのガバメントクラウド案件。前例の少ない挑戦は決して簡単ではありませんでしたが、「技術で社会を支える」実感を得られる貴重な経験となりました。
今後はさらなるシステムのモダナイゼーションや他機関への展開も予定しています。大きな仕事に臆せず挑戦し、変化を前向きに楽しめる、そんな学生の皆さんと一緒に社会を動かすシステムをつくっていきたいと思います。